エステティック学術会議
今回の学術会議では、エステティックサービスと医療行為との境界領域が年々不明確化している現状を踏まえ、消費者保護、安全管理及び実務運用等の多角的な観点から講演を実施することにより、医療行為への抵触防止を図るとともに、適正な業務範囲に対する理解の促進を目的とします。
| ○講演内容 | |
| ●ご挨拶 | 関東 裕美 氏 公益財団法人日本エステティック研究財団理事長 |
| ●基調講演 | 「サロンにおけるリスクマネジメント ~プロとして知っておくべき皮膚感染症知識とサロン衛生管理~」 後藤 由美子 氏 公益財団法人日本エステティック研究財団理事 株式会社 美・ボーテ研究所代表 抄録 |
| ●教育講演 | 「美容皮膚科の主な手技の基礎と実際」 乃木田 俊辰 氏 のぎた皮ふ科クリニック院長 東京医科大学皮膚科客員教授 抄録 |
| ●教育講演 | 「回復期リハビリテーション病院における化粧療法の実践」 小笠原 彩華 氏 蒲田リハビリテーション病院言語聴覚士 抄録 |
| ●共催セミナー (共催 一般社団法人日本エステティック協会) | 「透析患者を支えるソシオエステティックの実践から ~エステティックと医療の境界~」 酒井 咲子 氏 le soleil(ルソレイユ) 代表 AJESTHE認定ソシオエステティシャン 抄録 |

サロンにおけるリスクマネジメント
~プロとして知っておくべき皮膚感染症知識とサロン衛生管理~
公益財団法人 日本エステティック研究財団 理事
株式会社 美・ボーテ研究所代表
私たちが日々の現場で特に警戒すべき代表的な皮膚感染症として、まずは微小な傷から感染し周囲に拡大しやすいウイルス性イボが挙げられます。また、バリア機能が低下した肌に好発し、強力に感染する伝染性膿痂疹(とびひ)などの細菌感染症にも細心の注意が必要です。また、梅毒は近年感染者が増加している疾患として知っておくことが必要です。
さらに、高温多湿な夏場に急増する白癬や、激しい痒みを引き起こし、直接的な接触だけでなくタオルの共用などでも感染が拡大する疥癬のリスクも見逃せません。
これらのリスクからお客様とサロンを守るためには、サロン内感染を徹底的に防ぐ衛生管理策が不可欠です。施術前後の手指消毒や器具のエタノール清拭、そしてターバン、ガウン、シーツ類の一客ごとの交換を徹底し、感染経路を確実に遮断することはプロの義務です。また、実際に肌の異常を発見した際のカウンセリング対応こそ、エステティシャンの真価が問われます。「これはうつる病気なので施術できません」と病名を断定して拒絶するような対応は、お客様に不安と不快感を与える最悪の例です。医療行為にあたる診断を避けつつ、お客様の気持ちに寄り添い、お肌を最優先に考えた代替案を提示することも私たちができることです。皮膚感染症の正しい知識は、お客様とサロンの双方を守る盾となります。本講演を通じて、確かな観察眼と徹底した衛生管理を身につけ、安全で信頼されるサロン、そして誰からも選ばれ続けるエステティシャンへの第一歩を共に踏み出しましょう。
略歴
資生堂グループにて化粧品販売、商品開発に携わり、国内外の美容技術者教育およびサロン運営に従事。その後、技能五輪国際大会出場選手の育成や、看護大学における緩和ケア領域のエステティック教育を担当。現在は皮膚科クリニックでエステティックに携わる傍ら、心と身体に寄り添う美容ケアの普及と人材育成に力を注いでいる。

美容皮膚科の主な手技の基礎と実際
のぎた皮ふ科クリニック院長
東京医科大学皮膚科客員教授
美容皮膚科の手技は、多岐にわたっており、外科的方法(サージカル)、非外科的(ノンサージカル)に大別されます。サージカルは、主に美容外科、形成外科の医師が実施しています。今回は、ノンサージカルでの美容皮膚科的手技について解説します。
美容皮膚科的手技の代表は、レーザー治療とケミカルピーリングです。
(1)レーザー治療
A)しみの治療
まず大切なことは、シミの診断です。良性か悪性かの診断から、レーザーの適応のある状態かを判断することです。良性の場合、母斑性のものか、通常の光老化(老人性色素斑)で生じるものか、一般的にレーザー治療の適応でない肝斑かを鑑別することが重要です。
まず大切なことは、シミの診断です。良性か悪性かの診断から、レーザーの適応のある状態かを判断することです。良性の場合、母斑性のものか、通常の光老化(老人性色素斑)で生じるものか、一般的にレーザー治療の適応でない肝斑かを鑑別することが重要です。
B)レーザー脱毛火傷、炎症後色素沈着、炎症後脱色素斑、硬毛化のほか、主観的満足度のクレームなどの注意が必要です。
(2)ケミカルピーリング皮膚にピーリング剤(グリコール酸、乳酸、サリチル酸)を塗布し、角質剥離作用、その後の創傷治癒機序により、ざ瘡、日光黒子、肝斑、炎症後色素沈着、小じわなどを改善する。
略歴
1979年
熊本大学医学部卒業、皮膚科入局
1985年
東京大学 医学部皮膚科入局
1986年
医学博士取得(東京大学)
1993年
東京女子医科大学皮膚科准教授
米国ハーバード大学医学部留学
2003年
新宿南口皮膚科院長
2010年
東京医科大学皮膚科客員教授
2025年
のぎた皮ふ科クリニック院長

回復期リハビリテーション病院における化粧療法の実践
蒲田リハビリテーション病院言語聴覚士
回復期に入院する患者は、それまで当たり前にできていたことが突然できなくなり、これまでの生活や役割を失ったことで、「自分の人生が急に変わってしまった」という戸惑いや不安を抱える時期でもある。そのため、身体機能の回復だけでなく、退院後に趣味や外出、人との交流など、その人それぞれが大切にしてきた生活 を再獲得することを目指している。
近年、回復期のリハビリで化粧療法が注目されており、当院でも化粧療法を実施している。これまでの研究では、化粧療法により、認知症高齢者のBPSD(Behavior and Psychological Symptoms of Dementia)や幸福感、認知機能、意欲の改善が報告されている。高齢者を対象とした研究では、化粧療法による自己認識や生活機能、口腔機能・食事動作への影響についても報告されおり、化粧療法は心理面だけでなく、認知機能、意欲、社会交流、生活機能、口腔・摂食機能など、幅広い領域への有用性が期待されている。
当院でも化粧療法を実施し、表情の変化がなく、ほとんど声を発することがなかった患者が、化粧品を前にすると「この色がいい」と自ら話し始めることがある。また、化粧を諦めていた患者が自助具を使用し化粧が出来るようになることにより、「人に会いたい」と思え社会交流が増えたなど化粧という活動を通してさまざまな変化が生まれている。
本講演では、回復期リハビリテーション病院の役割とPT・OT・STなどによるリハビリテーションについて紹介するとともに、当院で実践している化粧療法を具体的な事例を交えて紹介する。化粧がもつ「人をきれいにする力」だけではなく、「やってみたい」「自分らしい生活を取り戻したい」という気持ちを引き出し社会参加へつなげる可能性について、化粧療法がリハビリにもたらす効果について紹介をしたい。
略歴
2009年
帝京平成大学 健康メディカル学部
言語聴覚学科 卒業
2009年
八千代リハビリテーション病院
2011年
蒲田リハビリテーション病院

透析患者を支えるソシオエステティックの実践から
~エステティックと医療の境界~
le solei(ルソレイユ)代表
AJESTHE認定ソシオエステティシャン



